


歴史を重んじて、伝統を大切にする日本だからこそ机に向かって先生の話を聞くのが当たり前の教育スタイル。そんな日本の教育に新たな風を吹き込もうとatama plus株式会社を創業し、現在その代表取締役を務めるのは稲田大輔さんです。世界に目を向けると新たな発想が生まれ、また技術の進化を活かすとできることが増えているのかもしれません。みなさんは塾や予備校を中心に人工知能(AI)を使った学習がすでに実施されていることを知っていますか?
稲田さんは自身のブラジル渡航の経験から、教育の仕組みに疑問を持ち、新たな考えを持ちました。基礎学力は高いけれど、自己表現は苦手だと言われてきた日本人の教育を変えると起業した稲田大輔とはどのような人なのでしょうか?今回は起業に興味のある人だけでなく、教育について興味のある人にも参考になる記事となっています。
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稲田大輔さんは2004年東京大学工学部を卒業して、東京大学大学院情報理工学系研究科を修了しています。大学在学中には起業に関することを中心に初歩から学ぶプログラム、東京大学アントレプレナー道場で第1期優秀賞を受賞した実績の持ち主です。大学院修了後はテクノロジーで世の中を変えると意気込み、三井物産株式会社入社して2年目で広告の新規事業を立ち上げました。
三井物産では教育事業にも携わり、ベネッセブラジル執行役員、ブラジルEdtech企業への投資業務などを経て、三井物産の日本国内教育事業統括等を歴任。また海外研修制度を利用して海外に出たことをきっかけに、通算5年間に渡るブラジル駐在を経験しました。このブラジルでの体験こそが日本の教育について考えるきっかけであり、起業のきっかけです。
三井物産を退職後は2017年4月に大学の同級生達と共にatama plus株式会社を創業し、代表取締役に就任、現在も日々新たな教育ツールを生み出し日本の教育現場に革新を起こしています。会社規模は現在約170名体制で、今後さらにサービスを拡大するために、250名規模に引き上げて事業拡大を狙います。
稲田さんの夢の実現を加速させたのは三井物産時代に社内の海外研修制度に参加したことです。海外研修は1年目は仕事をせず、徹底的にその国の言語と文化を学び、2年目から現地法人で働くという仕組みで、稲田さんは教育と幸せをキーワードにブラジルへ渡航。日本人が少ない北東部の港湾都市、レシフェの連邦大学に留学し1年目は家庭教師を1日6時間つけてポルトガル語をマスターすると同時に、ブラジル人の幸福感の理由を探りました。
そこで出た結論が「ブラジル人の自己表現力の高さ」です。思うことがあっても心の中で解決してしまう日本人と対照的にブラジル人はどんどん思ったことを口に出します。学校でも、生徒は積極的に発言・自己表現をし、先生もただ授業を教えるのではなく、生徒の質問や会話を大事にする環境がありました。
「基礎学力」をつけることを大切にする日本の教育に、ブラジル人のような自分の考えを率先して表す「自己表現力」を養う機会を増やそうと考えたのが稲田さんの起業のきっかけです。下記で起業のきっかけについては深掘りしていきましょう。
日本の教育現場といえば、黒板やホワイトボードの前に座り先生の話を聞くことを多くの人が想像します。しかしテクノロジーの進化によって変化しているものはたくさんあり、教育が変わらないのは時代の変化に釣り合いません。スマートフォンにより、どこでも誰とでも連絡が取れるようになり、車や電車の普及によって簡単に離れた場所に行けるようになりました。しかし教育現場には昔と変わらぬ風景がまだ残っています。
稲田さんが現在生み出しているのは中高生の学習に人工知能AIを使って、苦手を分析したり、一人一人の特徴を集積して学習に活かす仕組みです。人の力では限界がある領域にテクノロジーを使うことで、さらなる学習方法の向上が期待できます。現在この技術は中高生の基礎学力の分野で使われていますが、今後この領域が広がれば日本の教育は変わっていきます。
「日本の教育を変える」と意気込む稲田さんも確実に積み上げて今があります。文部科学省や公教育の現場が日本の教育機関としては1番影響力がありますが、初めに注目したのは塾や予備校です。民間で運営している塾や予備校は新しいことを取り入れることに積極的で、なおかつ現在日本の中高生は半分近くが塾に通っているため、十分に影響力があります。ここに人工知能による学習方法を提案して実行したのがはじまりです。
2017年に起業して、まだ5年ほどですが現在では塾や予備校だけでなく、学校からの問い合わせも増えるほどの注目を集める企業になりました。今は中高生に「基礎学力」をつけてもらえるサービスを展開されていますが、今後さらにこの領域を広げていきます。
また稲田さんは中高生だけでなく小学生以下にも、基礎学力だけでなく自己表現力や社会で生きる力を高める教育にもテクノロジーを使っていきたいと考えています。そして夢は日本に留まらず、海外にも進出していくような構想です。
今あるものを当たり前だと思わないこと、またその当たり前を否定せず良さだけ残して問題を解決し続けていることが稲田さんの成功要因ではないでしょうか。今回比較に出てきた日本の教育とブラジルの教育では基礎学力の高い日本と自己表現力の高いブラジルでどちらがいいとは言えません。atama plusは今ある日本の教育環境に新たな仕組みを取り入れることを考えてきたからこそ、より受け入れられ広まるサービスになりました。
日本の子供は基礎学力が高いけれど、自己表現力は乏しい。一方でブラジルの子供は自己表現力が豊かだけど、基礎学力に少し欠ける。日本では「基礎学力」か「生きる力」かといった議論がありましたが、未来を生きる子供たちには両方の力が必要だというのが稲田さんの考えです。テクノロジーを活用して基礎学力の習得時間を大幅に短縮できれば、そこでできた時間が自己表現力を伸ばす時間に使えます。
日々変化し続ける社会だからこそ、新しいことばかりに注目していても定着しなければ、古い考えに固執していてもいけません。起業を考える際もこのような観点に着目して、考えてみると必要なものは何で、何を取り入れていく必要があるのか見えてくるかもしれません。
近い将来、日本の教育をも変えてしまいそうな起業家稲田さんのエピソードはいかがでしたでしょうか?今あるものを見直し、新たな仕組みを取り入れて成功していく過程は今後起業を考える人にとって、とても参考になる内容でした。まだまだ続く稲田さんの成功ストーリーや今後の日本の教育にも目が離せません。
このように起業家が起業し、成功していく過程を探り、新たな知識を増やすことは分野や観点が違っていても学ぶことがたくさんあります。起業と聞くと何か新しいものと、考えがちですがヒントは過去の成功体験にある場合も多いのでぜひ参考にしてください。いろいろな視点を持ち、発想力を高めてさらなるアイディアを今後の取り組みに活かしていきましょう。
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稲田さんは自身のブラジル渡航の経験から、教育の仕組みに疑問を持ち、新たな考えを持ちました。基礎学力は高いけれど、自己表現は苦手だと言われてきた日本人の教育を変えると起業した稲田大輔とはどのような人なのでしょうか?今回は起業に興味のある人だけでなく、教育について興味のある人にも参考になる記事となっています。~Write by つな・ゆうゆ~