


近年、日本でも続々と新たなスタートアップが誕生しています。
そんなスタートアップ業界で今注目を集めているのが「ディープテック」です。
ディープテックとは、
「深いところに(ディープ)眠っている技術(テック)」
「世の中に深く根ざした問題(ディープ)を解決できる技術(テック)」
この2つの意味からきた造語で「今は深いところに眠っているけど、世の中の問題を解決する力を秘めている技術」のことを言います。
なぜ、今このディープテックが注目されているのか?
この記事ではディープテックの定義から、実際の事例まで詳しく解説していきます。
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ディープテックは以下の4つの項目を満たしたもののことを言います。
・大学や研究機関など、最先端の記述を基盤としている
・実現までに必要なスキル・投資額・時間が膨大である
・多くの場合、具体的な製品やサービスが見えていない
・成功した場合のインパクトが大きい
つまり、ディープテックとは「大学や研究機関などで最先端の研究をしているが、開発にかかるコストが膨大なため、未だにサービスに落とし込むことができていない現状だが、カタチにできれば世界を変革させることができる技術」のことを言います。
では、なぜ今ディープテックが注目されているのでしょうか?
次に紹介する3つの背景があると思われます。
SDGs達成に活用
2015年に開催された国連サミットで掲げられたSDGs。
『2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標』として、17の目標と169のターゲットが発表されました。
SDGsには貧困や飢餓、健康や教育の充実、気候変動対策など、これまで問題視されつつも解決が困難だった課題が設定されています。
その解決策としてディープテックを用いたイノベーションが注目されています。
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技術の多様化による投資額の増加
近年、人工知能や3Dプリンターなど、多くのサービスや技術が次々に生まれています。
言い換えれば、技術が多様化しているといえます。
そんな世の中で、新規事業の立ち上げをするとき、イチから世の中にイノベーションを起こす可能性のあるタネを研究・開発するよりも、『すでにタネを持っている』または、『タネになる可能性を秘めている研究をしている』外部と協力する方が効率がいいという考え方になってきています。
大学発のスタートアップの増加
先述したとおり、ディープテックの特徴のひとつに、大学などの最先端の研究機関で開発・実験が行われている技術であることがあげられます。
経済産業省では、これらの大学内で眠っている技術を用いて、大学発スタートアップの創出を目指す「大学発ベンチャー1000社計画」を2001年に発表しました。
その後、2017年には大学発のスタートアップは2000社を超えています。
さらに、2019年には「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」が施行されるなど、日本国内においても大学からスタートアップが起こりやすい環境が着実に整備されています。
国立大学からのスタートアップには多くのベンチャーキャピタルが出資を行っています。
ディープテックというものに注目が集まり、投資金額が増えている現状は、日本にとって大きなチャンスだといえます。
日本は、古くから新たな製品の研究開発では世界トップの技術力を持っています。
しかし、いま周りを見るとアメリカ・中国・韓国など、海外製品が溢れています。
これは、開発力では世界トップクラスだった日本が、ビジネスという観点で世界との競争に負け歴史があるといえます。
〜日本と世界のビジネスの歴史〜
日本の敗因。それはスピード感でした。
日本は昔から製品開発に対して非常に慎重に進めてきました。
例えば、電化製品においてはコンセントの電圧・電流など、規格が定められています。日本では、この規格が確定してからそれに沿った製品を開発していました。
これは、せっかく開発しても規格が合わずに後戻りになってしまうことを嫌がった結果だと言えます。
それに対して、海外はスピード重視で開発をすすめています。
海外企業では、電圧・電流の規格が定められる前から、製品を開発し、販売をしていました。
一見、振り出しに戻ることも相次ぐと考えられますが、実際はこの方法が成功を収めることに。
早く出荷することにより、そこにマーケットが出来上がり、あとを追う競合他社も最初の企業に合わせた規格で製品を発売しました。
結果的に、同じ規格の製品が普及することで、その規格が一般化することになりました。
この日本と海外の製品開発におけるスピードの差が、明暗を分けたといえます。
上記のような歴史を持つ日本は、ビジネスの観点で敗北しましたが、ディープテックの注目により、再度浮上する可能性が大きくなっています。
スピード感では日本は海外に遅れを取りましたが、世界トップレベルの研究開発力を持っていることには違いありません。
そのため日本の中小企業や町工場、地方の大学などには、まだ世に出ていないタネが多く眠っています。
これまでの投資は、インターネット・アプリケーションなどに傾いていましたが、ディープテックに投資家が関心を持っているいま、世に出ていないタネを多く持つ日本に追い風が吹いています。
ディープテックで注目される分野は多岐に渡ります。
その中でも特に注目されているのが、以下の13項目になります。
・人工知能、機械学習、ロボット
・3Dプリンター
・自動運転
・宇宙飛行、月面探査
・クリーン電力、代替エネルギー
・ゲノム編集、寿命延長技術
・埋め込み技術、人間拡張(ヒューマン・オーグメンテーション)
・IoT、センサー、ウェアラブル
・精密医療(プレシジョン・メディシン)
・ニューラルネットワーク
・量子コンピューティング
・ナノ・テクノロジー、合成生物学
・没入技術、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)
どの技術も私達の生活を大きく発展させたり、地球の課題を解決する可能性を秘めています。
それでは、世の中にはどのようなディープテックの事例があるのかを紹介していきます。
株式会社ユーグレナ
日本のスタートアップである株式会社ユーグレナは、東京都港区に本社を置き、微生物であるミドリムシを用いた製品の研究・開発を進めています。
ミドリムシは59種類の栄養を持つことから、健康食品の開発・販売を行っています。
また、ミドリムシを原料としたバイオ燃料の開発も行っており、将来的にはバスや飛行機などへの利用を目的としています。
https://www.euglena.jp
Blue Origin
Amazonの設立者でもあるジェフ・ベゾスが設立した「将来の有人宇宙飛行」を目的とした航空宇宙企業。
2021年の初飛行では、安全性だけでなく、乗客の快適性を求めた各システムを導入し、実際の人間と同サイズのマネキンを乗せた打ち上げテストに成功しています。
https://www.blueorigin.com
XAG
農業用ドローンを開発提供する中国のメーカーXAG。
ドローンを用いて農業用無人種まきを可能とする「Rice Seed Sowing Drone」をすすめています。
農業における最も大きな問題のひとつに、労働力の不足があげられます。
XAGの農業用ドローンは、レーダーを取り付けることで種をより正確かつ均一に分散させることができ、労働力を補完することができます。
すでにアメリカや日本でも法人を立ち上げており、農業用ドローンの普及を進めています。
https://www.xa.com/en
Aerodyne
Aerodyneは2014年にマレーシアで設立されたドローンによるインフラ点検を行うスタートアップ。
ドローンで撮影した風力発電機の表面の画像を取り込むことで、AIが欠陥を自動で判定したり、通信タワーの点検では3Dモデリングを作成して細かな欠陥箇所を検出したりすることが可能にしています。
https://aerodyne.group/
Arevo
アメリカ シリコンバレーにて、大型3Dプリンターに関連するソフトウェア開発・プリント技術・ロボットの設計制作などをトータルして行うスタートアップ「Arevo」。
Arevoの持つ大型3Dプリンティングの技術は、自転車だけでなく車や船、飛行機、大型の建造物なども、カーボンファイバーなどの新素材でつくることが可能です。
カーボンファイバーは従来の素材よりも軽く、丈夫なことから、Arevoはこの技術を世界中に広め、あらゆるモノを軽くすることによって、二酸化炭素の排出量を減らし気候変動の課題を解決するというビジョンを持って活動しています。
https://arevo.com
スタートアップの支援を行うR-StartupStudioでは、今回の記事で紹介したディープテックへの支援も積極的に行っています。
これまでに、アメリカ シリコンバレー発の3Dプリンティング技術を持つArevoや、オーストラリア発の難聴問題の研究からスタートしたNura、近畿大学の学生が立ち上げたブロックチェーン開発を行う株式会社PHIなど、国内外問わず、様々な分野のディープテックを扱うスタートアップを支援してきました。
発展の障害となる、
・資金調達
・製品開発
・製品の販売プロモーション
・広報活動
など、お困りのことがありましたら、ぜひ一度R-StartupStudioにご相談ください。
優れた技術やアイデア、また明確なディープイシュー(根深い課題)を持つプロジェクトであれば、マネタイズのモデルが決まっていなくても、まだプロトタイプがなくても問題ありません。
イチから戦略構築しますので、まず公式LINEからご相談ください。
▼公式LINE
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