


SDGsの4番目に掲げられている目標は「すべての人々への包括的な公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」です。これは、基本的な能力というよりも社会に貢献するために必要な知識や能力、価値観について言及しているテーマとなります。
ユニセフ世界子供白書2019によると、現在日本は非就学児率(中等学校)は約3%であるのに対し後発開発途上国は約56%です。世界では多くの子どもたちが学校に通うことが出来ず、教育を受ける機会を与えられていないという現状があります。
未来を担う子どもたちだけでなく全世界が直面する大きな問題です。では、なぜ教育格差は生まれるのでしょうか?
今回は世界や日本の現状と課題に目を向けた上で、社会問題の解決を目指す企業やスタートアップの具体的な取り組みをお伝えします。
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教育格差が起こる大きな原因の1つは、未就学児の存在です。世界で小学校に通えていない子どもの数は約5.900万人にも及びます。「質の高い教育をみんなに」という目標を達成するためには、見逃すことができない事実です。
教育を受けられない背景にはどのような問題があるのでしょうか。
最大の理由である貧困
教育格差が生じる原因として、貧困問題が大きく関わってきます。家計が厳しく、授業料や教材費を払うことができない子どもや幼いころから家族のために働かなければいけない子どもが多くいます。子どもたちが学校に通うことを疑問視したり、女の子に教養はいらないという考えを持っていたりといった、親が教育の重要性を理解していないという問題もあります。
教育環境
発展途上国は学校の数が足りていません。日本では学校が徒歩圏内にあるのが一般的ですが、家の近くにないため物理的に通うのが困難な場合があります。また、働く教員も不足しています。教員を育てる環境が整っていないことや、生活環境が劣悪な地域で働きたいと思う教員が少ないということが主な原因としてあげられます。
病気や戦争
貧しい国では衛生環境が悪く、医療設備も不十分です。子どもが病気にかかり、適切な治療を受けることさえできない現状があります。国の争いに巻き込まれ、安全な場所へ移動する生活を余儀なくされている人たちも多く、幼い子どもたちが学校に通うどころか命を脅かされる生活を送っているのです。
教育が受けられないことで生じる大きな問題は、文字の読み書きができないということです。
生きていく上で必要な知識や情報を得ることができない
文字での情報を得ることができないので、国や地域に適切なサービスが用意されていても受け取ることができません。また危険なものや食べてはいけないもの等を読み取ることが困難なため、間違えて毒を飲んでしまったり、ケガをしてしまったりする事故も起きています。
仕事を選択することができない
仕事に必要な能力を身に着けられず、できる仕事が限られます。自分で仕事を選ぶことが非常に難しくなり、必然的に貧困の状態から抜け出せない生活が続いていきます。
識字率(読み書きができる人の割合)は、日本ではほぼ100%、後発開発途上国では約77%です。西アフリカのニジェールでは40%ほどまで下がります。また、男女で識字率に大きな差が出る国も存在しています。
十分な教育を受けられないということは、子どもたちのその後の人生を大きく左右する重大な問題であり、家族の苦しい状況が世代を超えて引き継がれていくという悪循環が生まれる原因です。
日本にも教育における課題は多くあります。その中からいくつかピックアップしたものを見ていきましょう。
1.貧困問題
世界の貧困率国別ランキングによると、日本の貧困率は世界15位です。先進国である日本ですが、貧困率の高さが問題視されています。
さらに貧困家庭の子どもの約半数が、生活していく上で必要な文章を理解する能力を身につけられていないという事実も明らかになっています。貧困による教育格差は、私たちの身近なところでも起こっているのです。
2.地域格差
人口が大都市に集中し、地方では子どもの数がより少なくなっています。教育へのアクセスの向上、教育費負担の軽減に向けた経済的支援など、暮らしている場所によって教育の質が変わらないような対策が必要です。
3.教員の確保と養成
教育現場に求められる役割が増え、教員に負担がのしかかっています。学校運営における役割分担や改善が急務です。それとともに、質の高い教育を提供するためには学び続けることができる人材の養成が必要不可欠であり、研修などの充実も求められています。
4.様々なニーズに対応した教育の提供
障害がある、学校に通うことが困難である、家庭の事情で教育を受けらないなど様々なニーズを持った子どもたちがいます。顕在化しにくいケースも多いですが、個人や家庭に合わせた継続的かつ多角的な支援が必要です。
5. 海外への教育支援とグローバルに活躍する人材の育成
日本はいままで培ってきた教育を海外へ展開していき、学びの改善に向けて海外にも発信、実行する役割を担っています。これには政府のみならず、民間企業やNGO、研究機関などが協力し問題解決を目指していくことが求められています。
それにともない、自ら日本や世界の抱える問題を発見し、解決する力を持った人材の育成も重要です。語学だけでなく様々な文化を理解し、他者との違いを認め合うことができる教育を進めていく必要があります。
こういった社会問題に対し、日本はどのような取り組みをしているのでしょうか。
企業やスタートアップの事例をいくつかご紹介します。
【パナソニック】
電化製品の製造で有名なパナソニックでは、電気の供給が安定しない地域にソーラーランタンを寄贈する取り組みを行っています。カンボジアの農村やミャンマーの寺子屋で子どもたちに使用されています。
【株式会社ダイオーズジャパン】
オフィスサービスを提供するダイオーズジャパンでは、志を持った若者が国籍や経済状況に囚われず大学や大学院で学ぶことができるよう、学生向けの奨学金支給事業に取り組んでいます。
【特定非営利活動法人 LOOB JAPAN】
フィリピンが抱える問題を支援するNPO法人です。金銭面のサポートを募ったり、現地でインフラ整備をしたりすることで教育支援事業等を積極的に行っています。
【NPO法人れんげ国際ボランティア会】
国境を超え、教育や福祉に関する活動を行っているNPO法人です。ミャンマーやスリランカ、タイ等で学校を100校以上建設している実績があります。教育の質の向上を目指し、ミャンマーでは人材育成センターも設立しています。
ここでは実際の例としてスタートアップとしての取り組みを紹介します。
【FREE UNIVERSITY】
オンラインで世界中どこでも質の高い教育サービスを提供するプラットフォームを作っています。クラウドファンディングで支援者を募り、無事に目標金額に到達しました。
このプロジェクトでは幼児教育から高等教育、音楽やスポーツなど多岐にわたるプログラムを用意し、日本のみならず全世界に無料で授業を届けます。社会問題解決を目指す現在注目のITスタートアップです。
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この記事では「質の高い教育をみんなに」というSDGs4番目の目標から、世界や日本の状況や課題を明らかにし、日本の取り組みをお伝えしました。
複雑な問題が絡み合うため、簡単に解決されるものではないと思いますが、まずは現状を知ることが持続可能な社会を実現させるためにできる私たちの第一歩ではないでしょうか。
SDGsが一時的な取り組みになることなく、世界や日本、個人が一丸となって問題解決を目指すことが求められています。
私たちR-StartupStudioは、「日陰を照らす太陽となれ」という理念のもと、自発的に与え高め合う革新的な文化の創造を進めています。
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