


「サスティナブルファッション」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
あまり馴染みのない言葉ですよね。
何気なく生活している中でも、「サスティナブル」を取り入れたものは多く存在しています。
その一つが、ファッションです。
この記事ではサスティナブルとは何か、ファッションにおける問題や取り組みを詳しく解説していきます。
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サスティナブル(sustainable)とは、日本語で「維持ができる、持続可能な」という意味を持っています。
特に「地球環境を保全しつつ、持続が可能な産業や開発などについて言う」とされています。
ファッション業界でいうサスティナブルとは、天然素材に頼らないものづくりや最新のリサイクル技術を用いて、廃棄物から新しいアイテムを生み出すことです。
「製品が環境に配慮されている」
「公平や雇用形態、安全な職場環境が確保されている」
「動物の権利が守られている」
上記3つの条件を満たすことで、「サスティナブル」ということができます。
サスティナブルは近年、多くの場面で注目を浴びるようになりました。ファッション業界では、どのような問題があるのでしょうか?
環境面と賃金面について詳しく解説します。
環境汚染の深刻化
社会や地球環境を変えるために、国連が挙げた17の具体的目標があります。
「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」といい、略語で「SDGs」と表記されることがほとんどです。
SDGsは貧困問題や環境問題をなくすための取り組みを訴えかけていますが、ファッションも環境汚染に悪影響をもたらしています。
服の素材として使用される綿花の栽培には、大量の農薬(化学物質)が必要です。廃棄時の焼却処分で発生するCO2の排出や、染色における水質汚染なども問題になっています。
普段誰もが身に着ける衣服だからこそ、あらゆる問題を解決するべく行動することは、SGDsの普及につながっています。
低賃金問題
ファッションアイテムは、人権や労働環境面でも悪影響を及ぼしています。大量生産を行う発展途上国における、低賃金労働者の問題です。
コストパフォーマンスが良い身近なファッションアイテムも、生産される過程では社会的にも環境的にも多くの代償が支払われています。
持続可能を目指す「サスティナブル」と、ファッションをかけ合わせることで、どのような利点が生まれるのでしょうか?
天然素材を使用
衣服を生産するために使われている、多くの素材は化学繊維です。
リサイクルができる素材である反面、生産段階でさまざまな薬品が使われている点や、廃棄の際に自然に還らない点が環境に負荷をかけています。
環境への負荷を減らすため、使用されるようになったのが天然素材です。
農薬や化学肥料を必要最低限の量に抑えられていたり、その他の資源も最低限の量で生産されていたりします。
リデュース
リデュースは「減らす、削減」を意味します。
生産段階を工夫する事で、従来の製造方法よりも資源やエネルギーが減り、ファッションにも置き換えることができます。
リユース
リユースは「再利用」を意味します。
代表的な例は、古着です。
着なくなった衣服をフリーマーケットに出品したり、購入したりする事もリユースになります。
リサイクル
リサイクルは「不要となったものを資源として再利用」を意味します。着なくなった衣服を廃棄処分するのではなく、リサイクルし別の製品に生かすことで、サスティナブルに繋がります。
アップサイクル
アップサイクルは、「廃棄物や不良品の特長を活かしつつ、より良いものに作り変える事」を意味します。
リサイクルと似ていますが、アップサイクルはデザインやアイディアに付加価値を与え、元よりも価値を高めることです。布の切れ端や不要な布を回収し新しい生地を造ったり、そのまま使えるものは施設へ再販したりします。
シェアリングエコノミー
シャアリングエコノミーは「使っていない物やサービスを、インターネットを活用して共有する事」を意味します。
直訳は「共有する経済」です。
洋服のシェアリングでは、レンタルサービスが有名です。毎月定額の料金を支払う事で洋服やブランドバッグなどが借りられます。
不要な洋服を購入しない事で処分される量を削減できる上、経済的にも優しい取り組みとなっています。
受注生産の受け入れ
大量生産を行えば、農薬を多く使用した綿花が使われ、売れなかったものはそのまま廃棄処分されてしまいます。
環境問題はもちろん、必要以上に働かされる労働者問題にも発展します。
それを解決するべく、生産量を減らすために始まったのが、受注生産型のビジネスです。
フェアトレード
フェアトレードは「利用者だけでなく生産者にも目を向けた、公平で公正な取引の事」を言います。
あまりにも安すぎる製品は、その生産される過程に労働者の低賃金問題が潜んでいる可能性があります。
見合った対価を払うことで、フェアトレードにおけるサスティナブルなファッションに取り組む事ができるでしょう。
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ファッション業界が環境に多くの悪影響をもたらしている今、それを削減するために多くのファッションブランドが問題解決を図っています。
その中でも、250以上のブランドが参加している「ファッション協定」という協定があります。
ファッション協定とは
1.地球温暖化の阻止
2.生物多様性の復元
3.海洋の保護
これら3つの分野において、実践的な目標を、それぞれのブランドが協力して達成することを表明したものを指します。
2019年に結成されてから、多くのブランドが目標達成に向けて解決策に取り組んできました。
実際に温室効果ガスの排出量を大幅に削減したり、持続可能な原材料の使用に切り替えたりする事で、サスティナブルな取り組みとして取り上げられ、業界全体の士気も向上しています。
ここでは実際に、サスティナブルに取り組むファッションブランドを紹介していきます。
パタゴニア
世界で最も「レスポンシブル・カンパニー(責任ある会社)」として知られているパタゴニアは、古くよりサスティナブルな取り組みを行っています。
1994年にオーガニックコットンを製品に利用し始め、1996年にはすべてのコットン製品をオーガニックコットン100%に切り替えました。
他にも全米で大規模に行われるセール「ブラック・フライデー」にファッションが与える環境への悪影響を広告として掲載しました。
ステラマッカートニー
地球環境への意識が高まっている現在、動物性の素材を使うファッションに抵抗を感じる人が増えています。
ブランド立ち上げ当初から、ステラマッカートニーはレザーやファーといった動物性の素材を全く使ってきませんでした。
レザーの代わりにポリエステルやポリウレタンを原料とし合成素材を使用し、可能な限りリサイクル素材も活用しています。
オールバーズ
サンフランシスコ発のサスティナブルシューズブランドとして有名なオールバーズは、「世界一快適なシューズ」として評されたウールランナーを取り扱うブランドです。
再生ポリエステルを使用したり、炭素排出量を抑えるヒマシ油を使用するなど、環境に配慮したモノづくりを行っています。
アンダーソンアンダーソン
和紙からできた糸からアンダーウェアやルームウェアを製造しているアンダーソンアンダーソンは、大量生産の難しい原料とも向き合い、管理された森林の木材だけを原材料に採用しています。
和紙から作られ構造される糸は、天然繊維の為敏感肌にも優しく機能性にも優れたサステイナブルな糸です。
もちろんファストファッションも、サスティナブルに取り組んでいます。身近であるユニクロやH&M、ZARAをご紹介します。
ユニクロ
「服のチカラを、社会のチカラに」をサステナビリティ・ステートメントと定めているユニクロは、地球環境に余計な負荷をかけない服や、働く人たちの健康、安全、人権を守ることを意識しサステナビリティ活動を行っています。
H&M
H&Mは「ファッションでアクション」をテーマに、サスティナブル・キャンペーンを行っています。
サスティナブルな素材を使用し販売、着なくなった古着の回収も行っています。古着はリペア、リメイクされ、新たに付加価値の付いた商品を販売します。
そしてこれらを消費者側にも理解してもらい、協力してもらうために広告を掲示したり、SNSを使ったキャンペーンを実施したりしています。
ZARA
ZARAは、より持続可能な原材料の設計と使用のためのトレーニングプログラムに加え、革新的な取り組みを開発しています。持続可能な原材料を使用することで、環境負荷低減に貢献しています。
他にも承認を得た化学物質リストを作成し、衣類の安全性と健康を守ることを保証しています。
いかがだったでしょうか?
サスティナブルな取り組みは多くの業界で行われ、身近に存在するファッション業界も日々問題解決に取り組んでいます。
生産者、消費者共にファッションが与える環境問題や賃金問題を理解し、サスティナブルを意識した行動を心がけることが重要です。
サスティナブルな取り組みによるファッション業界の進化や、問題改善が期待されます。
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いまファッション業界でもサスティナブルが注目を集めています。今回は「サスティナブルファッション」について解説します。