


「日本の伝統工芸が衰退して無くなるのは悲しい」
「伝統工芸を守るために、なにか新しい活動を始めた方がいいのかな?」
という思いを持っていませんか?
多くの職人さんが、後継者不足や需要の低下による衰退で苦しんでいます。この状況を打破するにはどんなことをすればいいのか、悩んでいる方もいるでしょう。
そこで今回は、伝統工芸を守るために、『クラウドファンディング 』という手段を使った新しい活動について解説します。
この記事を読むことで、あなたが携わっている伝統工芸を未来に残すための、有益な情報が得られるかもしれません。
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初めに、クラウドファンディングとは何なのか、簡単にご説明させていただきます。
クラウドファンディングの意味や仕組み
クラウドファンディングは、英語の「crowd(大勢)」と「funding(資金調達)」の2つの言葉を組み合わせた造語です。ざっくり言うと、たくさんの人から資金を提供していただくという意味です。
新しいことを始めるには、ある程度の資金が必要になりますよね?
そんなときに、インターネット上のクラウドファンディングサイトを使って、自分のアイデアを発信します。すると、そのアイデアに共感してくれた人たち(支援者)から出資を得ることができます。
つまり、あなたが「伝統工芸で新しい活動を始めます!」と発信したときに、その活動内容に対して応援したいと思ってくれた人が、資金を調達してくれるのです。
クラウドファンディングを使って、たくさんの人からの応援や出資を得られれば、今後の伝統工芸を守るための活動をさらに活性化することができるでしょう。
支援者へのリターン(お返し)が必要
伝統工芸×クラウドファンディングの特徴として、出資してくれた支援者へ『リターン(お返し)』をする必要があります。
リターンの内容は、伝統工芸の新しい活動に関係する商品・サービスが一般的です。そして、支援者の出資額に応じて、その内容に差をつけなければいけません。
例えば、ガラス職人の方が「ガラス工芸の新しい活動を始めます!」と発信したとします。その場合、以下のようにリターンの内容を設定します。
◯3000円出資した支援者には、ガラスのコップ1点
◯5000円出資した支援者には、ガラスのコップ2点
◯10000円出資した支援者には、ガラスのコップ2点&小皿2点&一輪挿し1点
このように、出資額に応じて内容に差をつけます。
伝統工芸の種類や新しい活動の内容によって、リターンの内容は様々です。なので、あなたが携わっている伝統工芸や、これから始める新しい活動に関係するリターンを用意しましょう。
ここからは、実際にクラウドファンディングを利用した伝統工芸を3つご紹介します。それぞれの伝統工芸が始めた活動内容について、簡単にまとめています。
伝統工芸を守るための新しい活動を始めようか考えている方は、「そういう組み合わせがあるのか」と、意外性を感じられるでしょう。
活動やリターンのより詳しい内容が気になる方は、掲載しているURLをぜひご覧ください。
漆器×ワイン【実行者:アール・ド・テロワール(Art de Terroir)】
1つ目の伝統工芸は、漆器です。
漆器と聞いた多くの人は、ご飯を入れるお茶碗を想像するのではないでしょうか?
しかし、アール・ド・テロワールというブランドが開発した商品は、ワインに使うグラスと漆を組み合わせた『テロワール』という漆器です。
テロワールを開発したきっかけは、
◯漆器で飲むワインの香りや味わいが、グラスで飲むワインとは全く違うことに衝撃を受けたから
◯その感動を、ワイン好きの人々と分かち合いたいから
という思いがあったあったからです。
チューリップのような形をしたテロワールは、緩やかな曲線が美しく、飲み口はワインがスムーズに流れるように計算して作られています。質感は漆のトロリとした艶やかさがあり、肌触りも滑らかです。
グラスとは違って中身が見えないからこそ、ワインの味わいをより強く感じることができます。普段使っているグラスで飲むワインとは違う味わいを楽しめる、ワイン好きの方にはたまらない商品です。
漆器という伝統工芸の、新しい可能性の広がりが感じられる活動内容です。そして、ワイン好きの方は、その香りや味わいがどれほど違うのか、想像するだけでワクワクするでしょう。
URL:https://www.makuake.com/project/artdeterroir/
江戸木目込×おもし【実行者:大杉和美さん】
2つ目の伝統工芸は、江戸木目込です。主に雛人形や五月人形の制作に使われています。
実行者の大杉さんは、江戸木目込と、ある動物をモチーフにしたおもしを組み合わせた商品を開発しました。その動物とは、一体何だと思いますか?
正解は、猫です。
猫といえば、テレビの前に座ったり、雑誌や新聞の上に寝転がったりなど、「邪魔だけどかわいい行動」をよくしますよね。その猫の行動の可愛らしさを、江戸木目込の技術で表現しています。江戸木目込の魅力の一つである「ぬくもり」が強く伝わる商品です。
思わず触ってなでたくなる体の線や、両手をきゅっと揃えている姿は、猫好きの心を鷲掴みにします。クラウドファンディングでは、その可愛らしさに心を奪われた多くの猫好きの人々が、応援・出資しています。
商品の詳細や開発のストーリーが気になった方は、ぜひ下記のURLからご覧ください。
URL:https://www.makuake.com/project/delusion-factory/
柿渋染め×マスク【実行者:徳右衛門】
3つ目の伝統工芸は、柿渋染めです。
柿渋がどんな効果を持っているか、あなたはご存知でしょうか?
実は柿渋は、優れた抗菌・抗ウイルスの効果を持っています。その柿渋とマスクを組み合わせたことで、菌やウイルスを徹底的にガードする、優秀なマスクが出来上がりました。
しかもこのマスクは、使用感や耐久性も非常に優れています。
使用感の特徴
◯顔にフィットする立体構造に仕上げ、菌やウイルスが隙間に侵入するのを防ぐ
◯マチがついているおかげで、息がしやすい
◯柔らかい抗菌ゴムのおかげで、長時間つけても耳が痛くならない
耐久性
◯何度洗濯しても使える
◯抗菌・抗ウイルス効果が衰えない
などがあります。
コロナ禍でマスク着用が一般的になり、菌やウイルスに対して敏感になっている今だからこそ、この柿渋染め×マスクの商品は大きな反響を呼びました。コロナ禍の生活者のニーズにぴったり合った、素晴らしい商品です。
さらに詳しい活動内容や制作風景を知りたい方は、ぜひ下記のURLからご覧ください。
URL:https://www.makuake.com/project/tokuchan-mask/
伝統工芸×クラウドファンディングを成功させるためには、いくつかのポイントがあります。
これからご紹介するポイントをしっかり押さえることで、伝統工芸を守るための新しい活動を、成功へと導くことができるかもしれません。
活動内容・リターン(お返し)への期待値を上げる
まず大切なポイントは、伝統工芸の新しい活動の内容・リターンへの期待値を上げることです。
ワクワクしない、期待できない活動内容・リターンに対して、お金を出して応援したいと思う人はいませんよね?
活動内容・リターンを見た人々に、「伝統工芸でこんな素敵なことができるんだ!」「自分もこのサービスを受けてみたい!」と思ってもらえるような取り組みや商品を起案することで、支援してくれる可能性がぐんっと高くなります。
もし、「この活動内容とリターンで大丈夫かな?」と不安に感じたら、身近な人(家族や友達)に意見を聞いてみるといいかもしれません。
身近な人から「応援したい」「応援したいと思わない」などの正直な意見を聞くことも、クラウドファンディングを成功へ導くポイントになります。
SNSを使って事前に情報を発信する
いきなりクラウドファンディングで活動内容を発信するより、SNSを使って事前にお知らせをした方が良いでしょう。
SNSで事前に情報を発信し、たくさんの人に活動内容を知ってもらいます。そこであらかじめ支援者を獲得できれば、本格的にクラウドファンディングを始めたときに、資金が集まりやすくなります。
ここまで、クラウドファンディングの仕組みや、伝統工芸を守るための新しい活動などについて解説いたしました。
今ある伝統工芸を守るために必要な資金や、応援してくれる人を集めるには、クラウドファンディングを使った方法が最も適しています。最初は難しく感じるかもしれませんが、仕組みを理解して成功のポイントを抑えることで、あなたが携わっている伝統工芸を未来へ残せる可能性が高くなります。
この記事をきっかけに、「自分もクラウドファンディングを使って、伝統工芸の新しい活動を発信してみようかな」と思っていただけると幸いです。
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伝統工芸を守るために、『クラウドファンディング』という手段を使った新しい活動を始めてみませんか?この記事を読んで、クラウドファンディングの仕組みを理解することで、伝統工芸を未来へ残すためのチャンスが掴めるかもしれません。